公開日:2026.08.19

最終更新日:2026.08.19

SSBJ基準の適用前に進む、部分的な対応とは?

はじめに 

SSBJ基準は2027年3月期から、時価総額の大きい企業を対象に、段階的な適用が予定されています。 先進企業の開示を見ると、「準拠」と明記する事例は限られるものの、SSBJ基準を意識した情報開示へと移行しているケースが増えています。

本記事では、先行して取り組む企業の事例から、適用前の企業が開示している「部分的なSSBJ対応」を、2つの側面からご紹介します。

「準備は進んでいるが、社内での共有に留まり、具体的な開示に落とし込めない」

「法的な適用時期は見えないが、先んじて対応しておきたい」

このように悩まれているご担当者の皆様にとって、参考になれば幸いです。

① ダブルマテリアリティによる課題の整理

SSBJ基準では、サステナビリティ課題が自社の財務に与える影響、すなわちファイナンシャル・マテリアリティの開示が求められます。基準自体がダブルマテリアリティを要求しているわけではありませんが、実務上はインパクト・マテリアリティを特定することが、結果として将来の財務的影響を特定する有効な手がかりとなります。

そのため、財務面での重要度が高い課題を有価証券報告書、財務面以外も含むマテリアリティ全体をサステナビリティレポートで開示していたり、有価証券報告書での個別テーマは気候変動・人的資本のみではあるものの、サステナビリティレポートではそれらも含むダブルマテリアリティを開示しているケースがありました。

  • ダブルマテリアリティを特定する

  • 財務マテリアリティを抽出する

  • 開示媒体に応じて情報を整理する

という段階的な進め方は、多くの企業にとって参考になるでしょう。

掲載情報整理のイメージ


②「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」の4つの視点での開示

続いては、開示の構成をSSBJ基準に近づけることです。

2026年3月から6月末までに発行された有価証券報告書で開示されている個別テーマは、「気候変動」「人的資本」に絞ったものが多くなっています。

しかし、SSBJ基準では、企業の財務面に影響を及ぼす重要なサステナビリティ課題それぞれについて、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」での開示が求められます。

そのため、自社にとって「気候変動」「人的資本」以外の重要課題は何かを特定し、4つの視点で整理するだけでも、SSBJ対応に向けた準備になります。

「気候変動」「人的資本」以外で開示されているテーマとして多いのは、「人権」「知的財産」「生物多様性(自然資本)」などです。


おわりに

こうしてみると、すでに実施しているマテリアリティ特定や個別テーマの開示を少しずつ発展させていくことで、本格的な適用に備えることができます。また、適用時期が未定の企業であっても部分的な対応を進めることで、投資家等のニーズに応えていくことができます。

「ファイナンシャル・マテリアリティ」を重視するあまり、環境や社会への影響を示す「インパクト・マテリアリティ」の視点が薄れてしまうことには注意が必要です。

インパクト・マテリアリティも含めたサステナビリティ情報を、有価証券報告書だけで開示しきるのは難しいというのが現状で、多くの企業がサステナビリティサイトやレポートを活用しています。

サステナビリティ情報は、営業担当者が顧客との対話に活用したり、人事部門が社員教育に利用したり、社内でマテリアリティについて議論したりするための重要なコミュニケーションツールにも活用されます。

SSBJ対応をきっかけに整理した情報を、社外への開示だけで終わらせるのではなく、社内のコミュニケーションや事業活動にもぜひ活用していただければと思います。

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