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サステナ担当者がおさえておきたいGRIの最新動向(2025年6~7月前半)

なぜ今GRIの動向を把握する必要があるのか?
企業がサステナビリティ情報を開示するうえで、GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)の動向は見逃せません。
GRIスタンダードは、日本をはじめ世界で最も広く使用されているサステナビリティ報告基準であり、「インパクトマテリアリティ」に基づいた開示を求める唯一の国際スタンダードです。ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)基準やESRS(欧州サステナビリティ報告基準)といった他の基準とも整合性を高めながら、企業が信頼性のある非財務情報をグローバルに発信するための枠組みとして、その存在感を強めています。
2025年6月以降、デジタル報告の強化、自然関連情報への対応、国際的な認知の拡大、そして特に気候変動や人的資本に関する新スタンダードなど、GRIから重要な発表が相次ぎました。
本記事では、2025年6~7月前半に発表されたGRIのリリースの中から、次年度以降の情報開示に向けて、特にサステナビリティのご担当者にとって重要な5つのニュースについて、わかりやすく解説します。
1. サステナビリティ報告のデジタル化を加速する「GRIサステナビリティ・タクソノミー」を発表
2025年6月19日、GRIは機械での読み取りに対応すべく「GRIサステナビリティ・タクソノミー」を発表しました。これは、GRIスタンダードをXBRL(eXtensible Business Reporting Language)形式で提供するもので、サステナビリティデータの収集、分析、比較を効率化します。XBRLはすでに有価証券報告書など財務情報では普及しており、サステナビリティ情報にも拡大してきています。
このタクソノミーは、ISSBやESRSのXBRL形式とも高い整合性を持つため、各国・地域の報告制度における互換性が強化されます。これによって、企業の規模や技術的リソースに関わらず、デジタルでの報告書提出が容易になり、データの検索性や分析性も向上します。
GRIは2025年の後半、提出用ツールをリリースすることを予定しており、報告企業は提出した報告書がGRIスタンダードに準拠しているかどうかを検証できるようになります。
2. 気候変動・エネルギー関連の新スタンダードを発表
気候変動対策の重要性が増す中、GRIは2025年6月26日、「GRI 102: 気候変動(2025)」および「GRI 103: エネルギー(2025)」の2つのスタンダードを新たに発表しました。
「GRI 102: 気候変動」は、温室効果ガス(GHG)排出量削減目標や公正な移行に関する指標をカバーし、「GRI 103: エネルギー」はエネルギー使用量や脱炭素化の取り組みを対象としています。
これまでの「GRI 302: エネルギー(2016)」「GRI 305: 大気への排出(2016)」にはなかった開示要求事項も追加されました。
これらの新スタンダードは、GHGプロトコルに完全に準拠しているだけでなく、IFRS S2(気候関連開示基準)、ESRS(欧州サステナビリティ報告基準)、SBTi(Science Based Targets initiative)とも高い整合性を持っています。
IFRS S2による開示を「GRI 102: 気候変動」で補完できる設計になっており、報告の重複を避けつつ、意思決定に役立つ質の高い情報を提供できるように工夫されています。
3. GRIとTNFDによる自然関連報告の実践ガイダンスを発表
GRIとTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は、自然関連の依存・影響・リスク・機会に関するガイダンス(ケーススタディ)を発表しました。取り組みが進んでいる7社の具体的な開示事例を含む内容となっています。
このガイダンスでは、GRIの「インパクトマテリアリティ」と、TNFDの「LEAPアプローチ」が補完的であることを示しています。
自然との関係が財務リスクに直結することが示されており、企業に対して「一貫性と透明性ある情報開示の重要性」を示すものとなっています。
また、GRIとTNFDは既に相互運用性マッピングツールや自然関連報告に関するオンラインコースの提供を通じて、企業の対応力強化を支援しています。

4. 職場の多様性・平等に関するスタンダードの改訂案を公開
人的資本の重要性が高まり、労働関係のスタンダード改訂が続きます。GRIは2025年7月1日、「GRI 405: ダイバーシティと機会均等(2016)」および「GRI 406: 非差別(2016)」に関する改訂案を公開し、パブリックコンサルテーションを開始しました(2025年9月15日まで)。
この改訂は、すべての労働者に対する人権保護とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の確保を目的としています。
ILO(国際労働機関)の基準に準拠するとともに、特に差別防止や脆弱な立場にある人々への支援といった、現代的な労働課題への対応が重視されています。労働関係の新しいスタンダードは、2026年中に正式発行される予定となっています。
5. 国連の会議において、GRIが国際基準として正式に認知
2025年7月3日に開催された第4回開発資金国際会議(FfD4)では、GRIスタンダードがISSB基準と並んで、「グローバルなサステナビリティ報告の共通基盤」として成果文書に明記されました。
「セビリア・コミットメント」と題された成果文書では、各国に対し、GRIとISSBのスタンダードをそれぞれの状況に応じて柔軟に活用することが推奨されています。特に、「インパクト・リスク・機会(IROs)」の開示と「ダブルマテリアリティ」の重要性が強調されており、GRIのグローバルでの影響力がさらに強固になりました。
GRIのCEOであるロビン・ホデス氏は「ダブルマテリアリティは新たなグローバル規範であり、持続可能な開発の資金ギャップ解消に不可欠だ」とコメントしており、ダブルマテリアリティの考え方が国際的に広く認知されつつあることを示しています。
今後のサステナビリティ情報開示に向けて
今回の一連のリリースからは、GRIが単なる報告ツールではなく、企業の戦略的な情報開示のインフラとしてその役割を拡大しつつあるということが伺えます。
ご紹介した中でも、「GRI 102:気候変動」「GRI 103:エネルギー」の2つの新スタンダードへの対応は、サステナビリティのご担当者にとって特に優先度が高い分野といえます。
これらは、IFRS S2との補完性やESRS・SBTiとの整合性が高いものの、日本国内の規制とは異なる点もあるため注意が必要です。
このようなGRIの動向を踏まえつつ、今後の企業には、GRIスタンダードを正確に理解し、自社のサステナビリティ情報開示を充実させていくことが求められます。
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