GRIスタンダードⅠ. 正式名称GRIサステナビリティ・レポーティング・スタンダード(The GRI Sustainability Reporting Standards)Ⅱ. 概要■ 発行者GSSB(Global Sustainability Standards Board)※ GRIとは、サステナビリティ報告のためのガイドラインの作成・普及を目的としたNGOである。GSSBはGRIのもとに設立された組織で、規定の手順に基づきGRIスタンダード策定役を担う。サステナビリティ報告に関する専門知識やステークホルダーの視点を代表したメンバーで構成されている。■ 目的あらゆる組織が利用できるサステナビリティ報告のための信頼できる確かな枠組みを提供すること。GRIスタンダードを用いることで、組織が経済・環境・人々に及ぼすもっとも著しいインパクトは何か、持続可能な開発にどのように貢献するか、またはどう貢献を目指すかについて報告することができる。■ 対象組織の形態、業種、事業規模、活動地域、これまでのレポーティングの実績などに関わらず、全ての組織を対象としている。レポート冊子だけではなくその組織として開示した情報すべてを対象とすることができる。Webサイトでの報告や財務報告書との組み合わせなど、様々な形式を用いることも可能である。■ 内容GRIスタンダードは、共通スタンダード・セクタースタンダード・項目別スタンダードの3つに分かれる。モジュール形式になっており、社会の変化に応じて適宜改訂版が発行される。共通スタンダードは、スタンダードを使用する際の原則やルールなどを記載したGRI1基礎※1、組織に関する開示項目をまとめたGRI2一般開示事項※1、マテリアルな項目に関してまとめたGRI3マテリアル項目※1の3つに分かれている。準拠を宣言するためにはこれらすべてに対応する必要がある(一部省略可能な項目もある)。セクタースタンダードは2021年10月の改訂で加わった要素で、業界内での比較を容易にし、GRIスタンダードを活用するための補助ツールと位置付けられる。39セクターに分かれており、順次発表される予定。項目別スタンダードは、特定の分野に関連するインパクトを報告するためのパートになっており、200シリーズ(経済関連項目)、300シリーズ(環境関連項目)、400シリーズ(社会関連項目)で構成されている。GRI3に従い、自社に合ったものを選んで使用する。GRI1の図版をもとにYUIDEAで和文版を作成■ 沿革・今後1997年草案発表2000年GRIガイドライン第1版発行2002年GRIガイドライン第2版発行2006年GRIガイドライン第3版発行2011年GRIガイドライン第3.1版発行2013年GRIガイドライン第4版発行2016年GRIスタンダード発行GRI日本フォーラム※2がGRIスタンダード和訳版を発行2018年改訂版となるGRI303水と廃水、GRI403労働安全衛生を発行2019年GRI207税 追加2020年改訂版となる306廃棄物を発行2021年共通スタンダードの改訂版(GRI1、GRI2、GRI3)を発行セクタースタンダードの一例目として「石油・ガス※1」を発行2024年GRI101生物多様性の改訂版を発行Ⅲ. 企業の対応世界共通のスタンダードであり、グローバル企業の多くがこのスタンダードを使用している。 サステナビリティ報告にあたっては、報告を行う対象・目的を明確にし、それらに適合するように活用することが望ましい。また、準拠を宣言するためのルールが設定されているので、要件を満たしているか確認しておきたい。【関連記事】The GRI Perspective:環境と社会のためのGRIの役割The GRI Perspective:どのようにすればステークホルダーキャピタリズムを実現できるのかThe GRI Perspective:マテリアリティの狂気、なぜ定義が重要なのかThe GRI Perspective:ESG基準とフレームワーク、その他評価機関など