公開日:2025.11.26

最終更新日:2025.11.26

レポート制作におけるSSBJ対応準備、どの程度すればよいの?

SSBJ基準が2025年3月に発表され、最も早いグループでは2027年3月期からの開示義務化が予定されています。多くの企業が「開示すべき情報の識別(マテリアリティ特定)」と「コア・コンテンツでの開示」の対応に戸惑うことでしょう。適用時期が明確に決まっていないグループもありますが、法定開示ともなるため準備の手を抜くわけには行かない…というのが実情ではないでしょうか。先進企業のレポートを見ると、水面下の準備が感じられる事例が増えてきました。本稿ではその一部を紹介します。


■コア・コンテンツへの対応

SSBJ基準に沿った開示をするためには、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つのコアコンテンツに対してきちんと答えねばなりません。サスレポそのものを変えることは必須ではありませんが、取り入れている企業も出てきました。

たとえば、花王グループは自社のESG戦略「Kirei Lifestyle Plan」に基づく19のテーマを設定しています。これらはマテリアリティとして特定されたもので、サステナビリティレポートはこの19テーマの活動進捗を報告する章立てになっています。テーマごとに「戦略」「指標と目標」などの見出しが立ち、コア・コンテンツの視点を取り入れた構成になっています。

参考事例)花王 サステナビリティレポート2025
https://www.kao.com/jp/sustainability/pdf/sustainability-report/


■ダブルマテリアリティの準備

多くの企業にとって、コア・コンテンツ開示で課題となるのは「戦略」のパートです。なぜそのテーマに取り組む必要があるのか、どのくらいのインパクトを及ぼしているのか、財務面の影響はどのくらいなのか、を検討・開示しなければなりません。SSBJ基準はシングルマテリアリティ(財務マテリアリティのみ)に基づいていますが、「サステナビリティが財務に与える影響」を適切に評価するためには、やはりダブルマテリアリティの視点が必要です。

たとえば、ソフトバンクはマテリアリティ特定プロセスの中で、ダブルマテリアリティの考え方に基づき、短・中・長期のリスクと機会を検討したことを報告しています。

参考事例)ソフトバンク 非財務レポート2025(p.4)
https://www.softbank.jp/corp/set/data/sustainability/documents/reports/pdf/sbkk_non_financial_report_2025.pdf


■発行時期

SSBJ基準に基づく開示では関連する財務諸表、つまり有価証券報告書での開示が求められます。SSBJ基準の開示要件は詳細であるため、従来のサステナビリティレポート制作と同等の下準備が必要となります。つまり期末から3か月以内にサステナビリティレポートを開示するような状態になります(初年度は経過措置として、財務報告の後にSSBJ開示を行う「二段階開示」が認められています)。現状では期末から6か月程度の期間でサステナビリティレポートを発行する企業が多いことを考えると、約3か月の前倒しとなります。

既に、ニコン、日本電気、積水化学工業は期末から4か月以内にサステナビリティレポートを開示しています。また、みずほフィナンシャルグループのように、簡易的なレポートを2か月以内に発行している企業もあります。現時点ではレポートの前倒し発行を行う企業はまだ多くありませんが、サステナビリティ情報開示の仕組みを検討する必要があるかもしれません。

SSBJ基準に沿った開示は有価証券報告書で報告するため、任意開示媒体であるサステナビリティレポートや統合報告書での開示は必須でありませんが、多くの要素や仕組みを共有しています。両者に共通する条件を認識し、できることから少しずつ準備してみてはいかがでしょうか。


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