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S&Pグローバルが「Sustainability Yearbook 2026」を公表。 評価基準の解説と活用方法

2026年2月、S&Pグローバルより「Sustainability Yearbook 2026」が公表されました。
世界中の企業のサステナビリティ・パフォーマンスを測定する指標「CSA(コーポレート・サステナビリティ評価)」に基づいて、各業界の上位企業のみが掲載されるものです。
自社の立ち位置を客観視し、グローバルな改善方向性を探る上で、サステナビリティ担当者が注目すべき資料の一つです。日本企業も69社が掲載されており、掲載された企業はニュースリリースなどでその旨を公表しています。
Sustainability Yearbook 2026の評価基準とは
S&Pグローバルが実施するコーポレート・サステナビリティ評価(Corporate Sustainability Assessment:CSA)に基づき、各業界で優れたサステナビリティ・パフォーマンスを示した企業が掲載されます。
調査対象企業は、アンケートに対する回答と公開情報によって評価を得ます。回答に際してはエビデンス(証拠となる資料)の添付も多く求められ、ただ単に「やっています」と回答するだけでは不十分となっています。
2025年のCSAでは9,200社以上が評価対象となりましたが、掲載されたのはその1割にも満たないわずか848社でした。
・評価区分
業界ごとに設定されており、主な基準は以下の通りです。
Top 1%:CSAスコアが60以上であり、かつ業界トップ企業のスコアから1%以内の企業。
Top 5%:CSAスコアが57以上であり、業界トップから1%から5%の範囲に位置する企業。
Top 10%:CSAスコアが54以上であり、業界トップから5%から10%の範囲に位置する企業。
Industry Mover:前年からCSAスコアが5%以上向上し、業界内で最大の改善を達成した企業。
Member:CSAスコアが30以上で、業界上位15%以内に入り、かつトップ企業から30%以内のスコアを獲得した企業。
一定の水準を満たせば掲載されるという絶対評価ではなく、業界内での相対評価となっているのが特徴です。
・厳格な除外基準と信頼性の担保
イヤーブックへの掲載には、スコア基準に加えて除外基準も適用されます。タバコ、防衛・兵器(対人地雷、クラスター弾、核兵器など)、石炭やオイルサンドなどのエネルギー関連事業への一定割合以上の売上関与や所有権がある企業は対象外となります。
さらに、メディアやステークホルダー分析を用いた「論争や不祥事(Controversy )」に関するスクリーニングが実施され、「重大(Major)」または「深刻(Severe)」な事例があると判断された企業は選出されません。
このようなプロセスは、掲載企業の信頼性を担保するための仕組みであり、サステナビリティ担当者にとっては、評価結果の背景を理解するうえで重要なポイントです。
サステナビリティ担当者にとっての活用方法
評価が高い企業の共通点を把握する
今回の調査を担当する組織であるSustainable1のコーポレートソリューション&エンゲージメント責任者であるRobert Dornau氏のメッセージから、評価されている企業には共通する3つのトレンドがあると解釈できます。
「信頼」の価値向上:単なる公表値ではなく、第三者が検証可能な「信頼性の高いデータ」がこれまで以上に評価を左右します。
経営戦略への統合:サステナビリティを独立した取り組みとするのではなく、ガバナンス、リスク管理、意思決定プロセスにいかに組み込んでいるかが問われています。
比較可能性とインパクト:他社と比較可能な形での情報開示と、前年度から着実な改善、社会・環境に対して具体的にどのような「インパクト(結果)」を及ぼしたのかを証明することが期待されています。
「グローバルな先進事例」を探す
このような共通点を踏まえると、「今、世界で評価されている企業」を知るための最強のカタログとしての活用方法が見えてきます。
業界の「真のリーダー」をベンチマークする:「Top 1%」や「Industry Mover」企業の統合報告書を精読しましょう。世界基準で評価される「KPIの設定」や「マテリアリティの特定ロジック」を具体的に学ぶことができます。
「改善点」を確認する:急成長した「Industry Mover」企業の開示の変化を追うことで、短期間で評価を高めるための優先順位付けや、透明性を高める工夫のヒントが得られます。
競合他社とのギャップを分析する:海外の競合他社がどのカテゴリーに属しているかを確認し、自社との「差」がガバナンスにあるのか、環境データにあるのか等を分析する材料にします。
まとめ
CSAはアンケートへの回答結果と公開情報に基づいて評価されるので、必ずしも「情報開示が充実している企業ランキング」というわけではありませんが、厳格な評価基準によって選出されたトップクラスの企業を掲載しており、ダブルマテリアリティや新しいテーマを扱っており、現時点でのサステナビリティ経営が充実している企業のリストと言えます。
単なるランキングというだけでなく、自社のサステナビリティ戦略や情報開示の参考資料集として活用されてみてはいかがでしょうか。
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