公開日:2026.04.27

最終更新日:2026.04.27

これから「マテリアリティ」をどう開示するか  ~GPIFによる「マテリアリティの観点からの『優れたサステナビリティ開示』と『改善度の高いサステナビリティ開示』」を踏まえて~  

はじめに

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2026年3月、国内株式の運用機関に対して選定を依頼した「優れたサステナビリティ開示」および「改善度の高いサステナビリティ開示」の結果を公表しました。

この調査は毎年公表されており、昨年までは運用機関がそれぞれの視点で「優れた統合報告書」を選定していました。今回は、グローバルなISSB基準に基づく開示の採用が進んでいることや、日本におけるSSBJ基準による法定開示の段階的適用が具体化してきたことを踏まえ、「マテリアリティの観点からの『優れたサステナビリティ開示』」に焦点を絞って選定された点に特徴があります。

本記事では、この報告書に寄せられた運用機関からのフィードバックに基づき、企業に求められる「これからのマテリアリティ開示」について解説します。

「なぜそれが重要なのか」を明確にする

これまで多くの企業が、マテリアリティ特定プロセスやマテリアリティマップを開示してきました。しかし、「マテリアリティを開示しているものの、実態としては社会貢献の側面ばかりが強調されているケース」も見受けられます。

「なぜそれが投資家にとってリスクや機会となるのか」という、財務的影響の視点が不足している点に対し、運用機関は懸念を示しています。

投資家が求めているのは、「一般的な社会課題の説明」ではなく、「その課題が自社のビジネスモデル、ひいては財務数値にどのように影響するのか」という独自のロジックです。

形式的なマトリックスの提示にとどまらず、特定したマテリアリティと財務インパクトとのつながりを、分かりやすく説明することが求められています。

経営戦略との連動を説明する

企業はマテリアリティの特定自体は進めているものの、事業戦略やKPIとの連動が弱い点も指摘されています。

重要課題には必ず具体的な取り組みが存在するはずです。特定したマテリアリティに対して適切な定量KPI(成果指標)を設定し、その進捗を継続的にモニタリングすることが重要です。

さらに、それらの取り組みが将来的にどのように投下資本利益率(ROIC)の向上や資本収益性の強化といった財務価値につながるのか、両者の関係性を明確に示すことが求められています。

任意開示と法定開示(有価証券報告書)の連携をはかる

今回のGPIF調査において「優れたサステナビリティ開示」として選定された事例のうち、95%(147件)は統合報告書をはじめとする任意開示によるものでした。

しかし今後は、SSBJ基準の段階的適用に伴い、有価証券報告書におけるサステナビリティ開示がますます本格化します。

法定開示書類である有価証券報告書と、任意開示である統合報告書やサステナビリティレポートを有機的に連携させ、サステナビリティを経営戦略およびガバナンスの中核課題として位置づけていると伝えることが重要です。

今後に向けて

このほかにも、「サステナビリティに取り組んでいるにもかかわらず、それが対外的な開示資料に十分反映されていない」という実態と開示のギャップが指摘されています。

マテリアリティに関連する活動やKPIが十分に開示されていなかったり、開示情報が気候変動や人的資本に限定されてしまうケースが想定されます。マテリアリティについて、どの媒体でどのように開示するべきか、有価証券報告書も含めた全体設計の検討が、今後ますます重要になります。

【関連リンク】

GPIFの国内株式運用機関が選ぶ『マテリアリティの観点から優れたサステナビリティ開示』と同『改善度の高いサステナビリティ開示』


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