公開日:2025.08.21

最終更新日:2025.08.21

ESRSの基準案策定を担う、EFRAGの動向 ~欧州企業の2024年度報告の分析レポート/ESRS改訂ドラフトの公表~ 

欧州で導入が進むESRS(欧州サステナビリティ報告基準)は、日本企業のサステナビリティのご担当者にとっても見逃せない重要なテーマです。報告業務の効率化とリスクマネジメントのために、最新動向を正確に把握しておく必要があります。

本記事では、EFRAG(欧州財務報告諮問グループ)が発表した欧州企業のESRS導入状況に関する最新の調査結果と、ESRSの簡素化に向けた新たな動きについて、分かりやすく解説します。

ESRS導入の現状レポートの公表

EFRAGは2025年7月23日、「EFRAG State of Play 2025」を公開しました。これは、企業が発行した656件にのぼるESRSサステナビリティ報告書(2024年度)を分析したレポートです。

この調査から、以下の重要なポイントが明らかになりました。

  • 開示されるトピックの偏り: 報告書を作成した企業のうち、ESRSの全10のトピック別基準を「重要」と判断した企業はわずか10%でした。最も多く開示されたのは「気候変動(E1)」「自社の従業員(S1)」「事業行動(G1)」でした。生物多様性や内部炭素価格の設定、人権侵害に関する開示はまだ限定的です。

  • ステークホルダーエンゲージメントの課題: 企業の97%が「内部ステークホルダー」と関わっている一方で、NGOや地域コミュニティ、業界団体などを含む外部のステークホルダーとのエンゲージメントはまだ少ない状況です。

  • 報告書ページ数のばらつき: 報告書の平均ページ数は国によって異なり、70ページ程度の国から200ページ以上に及ぶ国まで、ばらつきがあります。

この調査結果は、多くの企業がESRSの導入に踏み出しているものの、報告内容には一貫性がなく、比較可能性がまだ低いことを示しています。

State of Play 2 025

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ESRS改訂ドラフトの公表

ESRSの導入企業から集めたフィードバックに基づき、EFRAGは2025年7月31日、簡素化されたESRSの改訂ドラフトを発表しました。これは、サステナビリティ報告をより効率的にし、企業の負担を軽減することを目的としています。

この改訂ドラフトの主な変更点は以下の通りです。

  • 報告義務の削減: 義務的なデータポイントが57%削減されました。

  • 基準の短縮: 基準全体の長さが55%以上短縮されました。

  • ダブルマテリアリティ評価プロセスの簡易化:自社のビジネスモデルや戦略などを踏まえて重要なトピックを特定できる「トップダウンアプローチ」という方法が認められました。これにより評価プロセスが従来よりも簡易的になりました。

  • 任意開示項目の撤廃: すべての任意開示項目が撤廃されました。

  • 新たな救済措置の導入: 報告が過度な負担となる場合に、免除される措置が導入されました。

EFRAGはESRS改訂ドラフトに対する意見を募るため、2025年7月31日から9月29日までの期間でパブリックコンサルテーションを実施し、2025年11月30日までに欧州委員会に基準案を提出する予定です。

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今後のサステナビリティ情報開示に向けて

今回の改訂ドラフトにより、ESRSに基づいてサステナビリティ情報を開示する企業は、開示の負担が減るほか、基準がより実用的になることで開示の準備がしやすくなることが予想されます。

サステナビリティのご担当者にとっては、ESRSの動向に引き続き注目し、開示の計画やリスクマネジメントに活かしていくことが重要となります。

ESRSで要求される開示事項を理解することで、欧州の先進企業がサステナビリティ情報開示を今後どの程度充実させていくかを予測することができるでしょう。「EFRAG State of Play 2025」レポートでは、ESRSを実際に使用してサステナビリティ情報開示を実践している企業の傾向について把握できるため、是非ご一読いただくとよいかと思います。

【参考資料】

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