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2026年度の人的資本開示で考慮すべきポイント ~「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正と「人的資本可視化指針」の改訂~

はじめに
2026年に入り人的資本の開示について2つの変更がありました。1つは2026年2月の有価証券報告書の開示に関わる「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正、もう1つは2026年3月の内閣府「人的資本可視化指針」の改訂です。
本記事では、2026年度以降の人的資本開示に関わるこの2つの変更について概要をご紹介します。
1.「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正
この内閣府令はSSBJ基準対応を含めた制度的なサステナビリティ開示を扱っており、「有価証券報告書に記載する項目」に関するものです。このうち、人的資本開示に関する改正は「経済財政運営と改革の基本方針2025」、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025改訂版」、「コーポレートガバナンス改革の実践に向けたアクションプログラム2025」における提言を踏まえたもので、新たに下記の開示が求められることになりました。
連結ベースの企業戦略と関連付けた、人材戦略
上記を踏まえた従業員給与等の決定方針
提出会社の従業員の平均給与の対前年比増減率
もともと有価証券報告書には「人材育成方針」や「社内環境整備方針」、これらの方針に関する「指標の内容」や当該指標による「目標・実績」の開示が求められていたので、より詳細な情報が求められるようになります。
また令和7年度有価証券報告書レビューでは、人的資本に関して
人的資本に関する方針、指標、目標及び実績のいずれかの記載がない又は不明瞭である
人的資本(人材の多様性を含む)に関する指標、目標及び実績が連結会社ベースの記載になっていない
という2つの課題があがっています。
2026年3月期以降の有価証券報告書では、これらに対応することも求められます。
関連リンク
「企業内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」等の公布及びパブリックコメントの結果について:金融庁
有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項等(識別された課題への対応にあたって参考となる開示例集を含む)について:金融庁
2.人的資本可視化指針の改訂
内閣府の人的資本可視化指針が改訂されました。この指針は、企業が経営戦略と連動した人材戦略を策定し、企業価値向上につながる質の高い人的資本投資を実践・開示するために、
・人的資本投資・人材戦略を検討する際のフロー
・どのような人的資本開示が企業と投資家の建設的な対話に有用であると考えられるか
等について整理したものです。この指針は、有価証券報告書という媒体に限定したものではありません。
主な改訂のポイントは以下の通りです。
・ 経営戦略と人材戦略を連動させるための「具体的なステップ」の提示
2022年に公表された改訂前の指針では、経営戦略と人材戦略の連動について重要性を指摘するにとどまっており、具体的な手順が不明確であるという課題がありました。投資家からも関連情報の開示が不十分であるとの指摘があったため、改訂版では具体的な検討フローが明示されました。
・国際的なサステナビリティ開示基準の反映と「4つの要素」の整理
ISSB基準などの国際的な開示基準の進展を踏まえて、情報開示の考え方が更新されました。具体的には、国際的に求められる「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」という4つの要素について整理されています。
・「依存・影響」と「リスク・機会」を通じたストーリー構築
経営戦略と人材戦略を論理的に結びつけるため、国際基準とも整合する「人的資本への依存・影響」「人的資本関連のリスク・機会」の2つの視点が導入されました。
・事業セグメントや地域ごとの可視化の推奨
連結グループ全体という大きな枠組みだけでなく、事業セグメントや地域ごとにあるべき組織・人材の姿を明確にし、それぞれに必要な人材戦略や人的資本投資を検討・実践することが有効であると強調されています。
関連リンク
今後に向けて
有価証券報告書の提出が必要な企業は、まず内閣府令の改正に沿って経営戦略と連動した人材戦略・人的資本投資に関する情報開示を充実させることが重要です。
また、人的資本可視化指針には
「必要に応じて任意の媒体も用いて有価証券報告書と整合的かつ補完的な形で人的資本への投資や人材戦略、関連する指標及び目標を開示するなど、有価証券報告書に加えて各種開示媒体を戦略的に活用していくことも重要である。」
と説明されています。人的資本はどの企業にとっても重要で、「人的資本レポート」など人的資本に特化したレポートを発行する企業もありますので、有価証券報告書だけでなく、適切な媒体を選んで開示していくことが求められます。
また、人的資本開示指針の補足資料として具体的な事例なども含む「経営戦略と人材戦略の連動等の開示事例」が公表されています。今後「人的資本に関する開示基準・開示事項例の整理(付録②)」などの資料も公表予定となっていますので、これらの資料も参考にしながら自社が求められる情報を適切に開示していくことが大切です。
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