サステナビリティ研修の必要性
企業にとってサステナビリティの視点は、経営に不可欠な要素として位置づけられるようになっています。投資家や取引先からの要求の高まり、規制の強化、そして消費者の価値観の変化等に対応するためには、経営層やサステナビリティ担当部門だけでなく、従業員一人ひとりがサステナビリティへの取り組みに納得し、行動に移すことが重要です。
そのために有効なのが「サステナビリティ研修」です。研修は、知識を習得するだけでなく、自社の事業とのつながりを考え、行動につなげる土台作りになります。
本記事では、企業にとって特に重要な3種類の研修について、目的と主な内容、効果的な実施方法をご紹介します。
企業に必要な3種の研修
① 全従業員向け、サステナビリティ基礎研修
多くの企業が、全従業員を対象にした研修を実施しています。自社のサステナビリティの考え方や、目まぐるしく変化するSDGsなどの国際的な潮流、人権や気候変動対応への企業が果たすべき責任などについて、共通の理解を持つことが目的です。自社の方針類の理解促進のために実施することもあります。
ポイントは「サステナビリティとは」といった抽象的な概念だけでなく、「自社のサステナビリティと、自分達の業務がどう関係するか」をイメージできるようにすることです。例えば「省エネやゴミの削減といった取り組みが、コスト削減やブランド価値向上につながる」「自社のこの製品が、プラスチックの廃棄物削減につながる」といった具体例を示すことが重要です。
主な内容の例
サステナビリティの基本概念、自社の考え方
SDGs、人権、気候変動などニュース性の高いテーマ
同業他社の取り組み
会社全体の方針と部門目標との関係
効果的な実施方法
多くの従業員が参加しやすいオンラインでのeラーニングや、集合研修が適しています。自社の事業場や役員メッセージの動画や、クイズ形式を取り入れると理解が定着しやすくなります。
② 特定部門の従業員向け、専門分野研修
サステナビリティの担当部門だけに専門知識が求められる訳ではありません。購買・調達、商品企画・開発、人事、広報・IRといった部門は、企業のサステナビリティ課題に直面する場面もあり、より専門的な知識が求められます。
例えば購買・調達部門には「サプライチェーン上の人権リスク管理」、人事部門には「人的資本関連の取り組み」などがあります。さらに評価機関からの要請項目が含まれるケースもあります。
このような部門に向けては、専門知識に特化した研修が有効です。関連する法規制や業界動向、実務への活かし方など、部門のサステナビリティ関連目標の達成につながる情報の提供が重要です。
主な内容
購買部門:サプライチェーン上の人権や環境リスク管理、主要クライアントや同業他社の事例紹介
人事部門:人的資本関連の取り組み、ダイバーシティ推進、有価証券報告書での開示要求事項
広報・IR部門:投資家からの要請、GPIFなどESG投資の状況、証券取引所の動向
効果的な実施方法
業務と直結する内容となるため、少人数での勉強会形式が効果的です。関連するガイドラインや国際的な基準のインプットと、部門に割り当てられている目標達成に関連するケーススタディなどを通じて、自社での実践につながる知識とスキルを獲得できます。
③ 役員層・経営層向け、サステナビリティ勉強会
サステナビリティを経営に統合するために欠かせないのが、役員層・経営層の理解と行動です。サステナビリティ経営を推進するうえで知っておくべき考え方や、最新動向、他社の状況などの知識をインプットします。それを踏まえて自社がこれから何に取り組むべきか、そしてどのように情報を開示すべきかなどを検討します。
主な内容
サステナビリティの重要性
自社の事業と深く関わるサステナビリティ課題
サステナビリティ推進のための組織づくりと実践方法
効果的な実施方法
役員層・経営層には、短時間で密度の高い対話型ワークショップを含む勉強会が適しています。ファシリテーションのスキルも持ち合わせた外部有識者による講演と、自社の経営課題を題材にしたディスカッションを組み合わせ、「自社なら経営にどう組み込んでいくか」といったテーマで議論することなどが有効です。
これからの各種研修実施に向けて
サステナビリティ研修は、企業のこれまでの取り組み実績や開示情報、主な業種に応じて設計する必要があります。企画段階で重要なのは「誰に」「どうなってもらうために」「どんな知識を」「どの方法で伝えるか」を明確にすることです。
全社員へのeラーニング、部門別のワークショップ、役員向けの勉強会を組み合わせることで全従業員のレベルが向上すれば、サステナビリティの取り組みは確実に進むでしょう。
今回ご紹介したもの以外にも、ブランディングを目的としたもの、イントラネットを活用したもの、イベント、管理者層を中心としたものなど、さまざまなパターンが考えられます。
研修は実施するだけではなく、その効果を測定し改善につなげることも大切です。効果を測定する方法には、下記のようなものがあります。
実施後のアンケート調査:理解度や満足度を可視化できます。
知識テスト:学習効果を確認できます。研修前に、テストを実施する旨と合格ラインを示しておくと効果的です。
行動変化の追跡:省エネ行動の定着度、廃棄物削減量などを評価します。変化を把握するために、研修を実施する前の状況を把握することが必要です。
このような効果測定方法も研修の企画段階で検討しておくことで、研修の実効性を高め、取り組みの推進につながりやすくなります。
実施する時期は、統合報告書やサステナビリティレポートの公表、新たな方針の策定などがある場合は、その周知とあわせて実施できると効率的です。
まずは自社の課題を見極め、最適な研修プログラムを実施していただければと思います。
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