
サステナビリティレポートや統合報告書を発行する目的を、さまざまなステークホルダーに「自社の活動を伝えること」「自社のことを理解してもらうこと」とされている企業は多いのではないでしょうか。
もちろん発行してウェブサイトで公開するだけでも効果はありますが、せっかく作成したサステナビリティレポートや統合報告書を活用して、自社への理解をより深めるための取り組みをされてはいかがでしょうか。
既に対応されているものもあるかと思いますが、本記事では、活用方法とそれぞれの施策のポイントについてご紹介します。
1、社内研修などへの活用
サステナビリティに関する自社の方針や取り組みは、社員一人ひとりが理解し、日常業務の中で意識できることが大切です。
そのためには、サステナビリティレポートや統合報告書を社内研修の教材として活用し、会社の目指す方向性を全体で共有することが有効です。
研修以外にも、社内イントラネットに掲載しておくと、社員がいつでもレポートにアクセスできるようになります。
取り組む際のポイント
サステナビリティレポート等には、「人権デュー・ディリジェンス」「サプライチェーンマネジメント」など、聞きなれない言葉が使われています。そのせいで読みにくいと思われてしまうこともあるので、解説資料を用意すると丁寧です。
「社員の声」「Voice」などで社員の方が掲載されている項目や、具体的な取組事例を中心に紹介することで、社員の方により身近に感じていただきやすくなり、意見やフィードバックを得やすくなります。
2、投資家向け、サステナビリティ説明会・統合報告書説明会の開催
サステナビリティレポートや統合報告書は、投資家との対話においても重要なツールとなっています。一部の企業では、投資家向けの「サステナビリティ説明会」や「統合報告書説明会」を開催し、レポートの内容をベースに自社の方針や取り組みを具体的に紹介されています。
説明会の動画や、説明会でのQ&Aの要旨を開示している企業もあります。
例えば、「環境配慮型の製品が割高であっても、お客様から許容されるような変化があるのか?」「自己都合退職率の改善対策について、補足説明してほしい」といったコメントがあり、サステナビリティが企業にとって重要であることを企業側も投資家側も認識したうえで、積極的な対話が生まれていることがうかがえます。
取り組む際のポイント
説明会は時間が限られるので、マテリアリティや価値創造戦略など、特に伝えたい内容にフォーカスすることになります。また、海外にある工場の様子や製品など、身近ではない話題を説明される際は、動画を活用すると印象に残りやすくなります。
CFOやサステナビリティ担当役員といった責任者が、自身の担当領域について自らの言葉で説明することで、より理解が深まります。
3、ESG評価機関のエビデンス(証拠の資料)として
特にプライム市場の上場企業であれば、資本市場からの評価を意識せざるをえないのではないでしょうか。
GPIFが採用しているFTSEやMSCIといったESG評価機関からの調査では、サステナビリティレポートや統合報告書がエビデンスとして活用されています。
そのため、評価向上を図るために、サステナビリティレポートや統合報告書において評価項目に沿って情報を整理・拡充するケースも出てきています。
サステナビリティレポートの主な読者を「ESG投資に関心の高いステークホルダー」とし、「サステナビリティデータブック」というタイトルで作成している企業もあります。
取り組む際のポイント
評価機関によっては、調査項目が何百にも及びます。複数のESG評価機関に対応する場合は、各機関が調査する項目を整理してから開示することが必要です。
ESG評価機関が調査する項目すべてを一つの媒体で解決する必要はありません。サステナビリティサイトやレポートなど、各媒体の位置づけを明確にしておくことで、評価機関側にも「これはどこに載っているのだろう?」といった迷いが生じにくくなります。
4、お客様向けのパンフレットなどへの活用
消費者や取引先にとって、企業が積極的にサステナビリティに取り組んでいることは、商品・サービスの選定や購入時にポジティブな判断材料となり得ます。
そういった機会を逃さないためにも、サステナビリティレポート等の中から、特にお客様に伝えたいこと、お役に立つことをシンプルにまとめたパンフレットやプロモーション用の媒体を用意することで、自社ブランドの価値や信頼性を消費者に訴求することができます。
取り組む際のポイント
お客様に配布したり、自由に手に取っていただけるようにする場合は、写真やイラストなどを使ったわかりやすいデザインにすることが大切です。
社員が営業先にメールで送付する、イベントで直接配布するなどの使用方法が想定される場合には、営業部門やイベントの担当者など、活用する方々の意見を反映することが重要です。
まとめ
上記でご紹介した取り組み以外にも、取引先にサステナビリティ調達の説明をする際などにも活用できるでしょう。
多くの企業が、サステナビリティレポートや統合報告書を、ステークホルダーとの「重要なコミュニケーションツール」として位置づけています。発行してウェブサイトなどで開示して終わるのではなく、社内外のさまざまなシーンで活用されてはいかがでしょうか。
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