公開日:2026.03.03

最終更新日:2026.03.03

【2025年版統合報告書】先進50社の調査から見える3つの仕様トレンド

はじめに

企業のサステナビリティ部門やIR部門にとって、次年度の統合報告書の制作方針を定め、具体的な仕様を決める時期がやってきました。 「ページ数は適切か?」「媒体の使い分けはどうすべきか?」、こうした悩みを持つご担当者様も多いのではないでしょうか。

今回は、サステナビリティの先進企業50社を対象に行った統合報告書の調査結果をもとに、来期のスタンダードとなりそうな3つの主要トレンドをご紹介します。


1.「ヨコ型」レイアウトが多数派に


これまで印刷を前提とした「タテ型」が主流だった統合報告書ですが、2025年版ではPC画面閲覧に最適化した「ヨコ型(スライド形式)」が主流となりました。

調査結果では2024年版はタテ型が過半数でしたが、2025年版では「タテ型17社、ヨコ型30社」となり、ついにヨコ型が過半数となりました。

この背景には「デジタル最適化」の加速があります。投資家をはじめとする多くのステークホルダーがPCやタブレットなどのデバイスで閲覧するようになったため、画面全体を使って情報を視認しやすく、プレゼンテーション資料としても活用しやすいヨコ型レイアウトへ移行しています。ただしオンライン版を作成している企業の中には、PDF版をダイジェスト版としてヨコ型からタテ型にしたケースもあり、統合報告書をどのようにレイアウトするかは今後の媒体の使い分け次第となりそうです。



2.脱・大長編。100ページ前後がボリュームゾーンに

2025年版の2つ目の特徴は、「コンテンツの簡潔化」です。

これまで100ページを超えるボリュームが一般的だった企業でも、情報の取捨選択が進んでいます。

調査結果では、ヨコ型は「80〜90ページ台」、タテ型は100ページ前半に着地させた企業が多くなっていました。

これは単にページを減らしてコストを削減することだけが目的ではなく、読み手に最も伝えたい「価値創造ストーリー」を際立たせるための判断と言えます。


3.PDFにも「Webのような操作性」

ページ数が最適化されたとしても、読みたい情報にすぐに辿り着けなければ意味がありません。そこで必須要件となっているのが「UX(ユーザーエクスペリエンス)の向上」です。

具体的には、PDF内に「見出しリンク」や「サイドバーによるダイレクトアクセス」といったインタラクティブ機能を実装する動きが普及しています。

 特にヨコ型レイアウトを採用する場合、常に画面端や上部にメニューが表示されるナビゲーションなどを設置し、「読者が迷わない」設計にすることが、検索性を維持するための絶対条件とされています。

次年度の制作に向けて

「ページ削減」=「文章を短くする」ではない

80ページ台へのスリム化を目指す際、多くのご担当者が陥りがちなのが「既存の原稿をただ短く要約しようとする」ことです。しかし、先進企業は「媒体の使い分け」によってこれを実現しています。

例えば下記のように、統合報告書を「投資家へのプレゼン資料」と割り切り、詳細なデータや網羅的な報告はWebサイトやデータブックに任せるという役割分担を明確にしています。

 • 統合報告書

    ◦ 役割:投資家向けプレゼン資料

    ◦ 内容:価値創造ストーリーの深化、財務・非財務で重要なKPIの進捗

    ◦ ポイント: 網羅性よりもストーリーの一貫性を最優先する

 • サステナビリティデータブック/サステナビリティレポート

    ◦ 役割: 網羅的な情報アーカイブ

    ◦ 内容: 詳細なESG活動報告、規程、GRI内容索引

    ◦ ポイント: 専門的な詳細情報をこちらへ移管する

来期に向けた推奨アクション

以上のトレンドを踏まえ、2026年版の制作に向けて下記のような取り組みをされてはいかがでしょうか。

  1.  情報開示媒体の整理: 統合報告書のターゲットを明確にし、サステナビリティレポートなど他媒体との連携・役割分担を設計します。

  2. 技術仕様: PC閲覧を前提としたナビゲーション機能(各種インタラクティブ機能)を確認します。

  3. 編集方針: 統合報告書は「プレゼン資料」であると定義し、網羅性ではなくストーリー性を最優先事項として構成します。

トレンドに沿うことがすべての読者の読みやすさにつながるわけではないので、すべての企業がヨコ型にした方がよいということではありません。

自社の読者にとって、どんな統合報告書が適しているかを踏まえて、次年度の報告書を設計してみてはいかがでしょうか。

【参考記事】


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