Ⅰ. 正式名称国連グローバル・コンパクト(United Nations Global Compact)Ⅱ. 概要発行者国連http://www.unglobalcompact.org/index.html目的国連グローバル・コンパクトは、持続可能性と責任あるビジネスを約束する企業の政策形成のためのプラットフォームであると同時に、実践的な枠組みでもある。さまざまな取り組みやマネジメント・ツール、リソース、時事問題(気候変動など)を扱ったプログラムを通して、世界中のビジネスに国連グローバル・コンパクトの10原則を組み入れること、持続可能な開発目標(SDGs)を含む国連の目標達成を促進すること、この2つの相互補完的な目標の達成を目指している。対象企業、学術、協会、法人団体、自治体等の団体を対象としている。反社会勢力・団体と関係のないこと、組織としての実体を有していることが参加の条件であり、国連グローバルコンパクトの10原則と、SDGsへ賛同するトップ自らのコミットメントが必要となる。内容国連グローバル・コンパクトは、持続可能性と責任あるビジネスを約束する企業の政策形成のためのプラットフォームであると同時に、実践的な枠組みでもある。企業・団体のトップが自らに託された指導力によって、進んで人権、労働、環境、腐敗防止の10原則を守り、企業・団体の戦略や活動を展開していくことが求められる。この10原則は、世界人権宣言(1948年)、労働における基本的原則および権利に関するILO宣言(1998年)、環境と開発に関するリオ宣言(1992年)、腐敗防止に関する国連条約(2003年)に依拠しており、世界的なコンセンサスを基礎に導きだされている。国連グローバル・コンパクトの10原則人権原則:1 企業はその影響の及ぶ範囲内で国際的に宣言されている人権の擁護を支持し、尊重する。原則:2 人権侵害に荷担しない。労働原則:3 組合結成の自由と団体交渉の権利を実効あるものにする。原則:4 あらゆる形態の強制労働を排除する。原則:5 児童労働を実効的に廃止する。原則:6 雇用と職業に関する差別を撤廃する。環境原則:7 環境問題の予防的なアプローチを支持する。原則:8 環境に関して一層の責任を担うためのイニシアチブをとる。原則:9 環境にやさしい技術の開発と普及を促進する。腐敗防止原則:10 強要と贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗を防止するために取り組む。沿革・今後国連グローバル・コンパクトは、1999年1月に世界経済フォーラム(ダボス会議)の席上で、コフィー・アナン国連事務総長(当時)によって提唱された。グローバル化が急速に進む中、グローバル化の「負」の側面が顕著になり、もはや国家や国際機関だけではグローバルな課題を解決することが困難になってきたことなどが背景にある。2000年7月26日にニューヨークの国連本部で正式に発足。1999年に提唱された時点では、人権、労働、環境の9原則であったが、2004年6月24日に開催されたGCリーダーズ・サミットにおいて腐敗防止に関する原則が追加され、現在の10原則の形となった。正式発足から10年が経過した2010年、この10年の経験を基に企業のサステナビリティに関わるパフォーマンスを向上させるため、「Blueprint For Corporate Sustainability Leadership」(Blueprint)を作成し、発表している。2011年には、Blueprintを実行するためのプラットフォームとして「Global Compact LEAD」を新たに発足。また、同2011年に、サステナビリティのパフォーマンスと情報開示を改善するための新たな枠組みである「Differentiation Programme」を発表するなど、新たな試みを行っている。なお、国連グローバル・コンパクトは、さまざまな国や文化の中に国連グローバル・コンパクトを根付かせるために、ローカル・ネットワークを形成しているが、日本におけるローカル・ネットワークである、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)は2003年に発足した(2015年7月にGC-JNから公式名称を変更)。GCNJ は、2008年より経営トップ主導型のネットワークへ移行し、加入企業・団体の力を結集し、持続可能な社会の実現に向けて積極的な活動を行える体制へと強化を図り、その後、2011年10月20日に一般社団法人へと移行している。国連グローバル・コンパクトは、2000年に正式発足されて以来、署名企業は増加し続け、世界150カ国、1万3千を超える組織・団体が署名するまでにいたった。そのうち、企業(中小企業を含む)の署名は10,000を超えている。なお、日本からも309の組織・団体が署名をしている(2019年5月13日現在)。1999年世界経済フォーラム(ダボス会議)にて、コフィー・アナン国連事務総長(当時)によって提唱される(1月)2000年ニューヨークの国連本部で正式に発足(7月)2003年グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)が発足2004年GCリーダーズ・サミットにおいて腐敗防止に関する原則が追加される(6月)2011年Global Compact LEAD、Differentiation Programmeを発足GC-JNが一般社団法人へ移行2015年ジャパンネットワークが公式名称をGlobal Compact Network Japan(GCNJ)に変更ミレニアム開発目標に続く、SDGs発効2030年SDGsの目標達成期限(一部は2020年)Ⅲ. 企業の対応国連グローバル・コンパクトは、あくまで自発的なイニシアティブである。国連グローバ・コンパクトに署名・加入するメリットとして、GCNJは以下の点をあげている。企業はより高いレベルでの経営を実現できる前向きにCSRに取り組む企業姿勢をステークホルダーや国際社会に広くアピールできる社内のCSR推進に役立つUNGCおよびGCNJのウェブサイトやメディアとの交流会などを通じて、各署名・会員企業の取組みを世界に幅広く発信できる国連グローバル・コンパクトに署名を希望する場合は、必要な申請手続きを行う必要がある。また、署名した企業・団体は、以下のことが求められる。Communication on Progress (コミュニケーション・オン・プログレス)の提出 【義務】国連グローバル・コンパクト10原則と国連ミレニアム開発目標の実現を目指した活動を進めること。【奨励】国連グローバル・コンパクトに署名していることや、国連グローバル・コンパクト10原則を積極的にPRすること。【奨励】※ 国連グローバル・コンパクトの署名・加入については、以下のページを参照ください。グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン「署名・加入について」国連グローバル・コンパクトに署名している企業United Nations Global Compact 「Participant Search」