公開日:2023.12.20

最終更新日:2025.09.04

統合報告に必要な、6つの統合思考原則

2021年12月にVRF(現在はIFRS。The Value Reporting Foundationの略でIIRCとSASBが統合した団体。)が「Integrated Thinking Principles」(統合思考原則)を公表しました。

統合思考とは、統合報告書を作成する際に基礎となる概念です。<IR>国際統合報告フレームワークでは、統合報告は「統合思考を基礎とし、組織の、長期にわたる価値創造に関する定期的な統合報告書と、これに関連する価値創造の側面についてのコミュニケーションにつながるプロセス」と定義しています。そして、統合思考を「組織が、その事業単位及び機能単位と組織が利用し影響を与える資本との関係について、能動的に考えることである。統合思考は、短、中、長期の価値創造を考慮した統合的な意思決定及び行動につながる。」としています。

ところが既に統合報告書を作成していても、その基礎となる統合思考が構築されていない組織が多いことから、「統合思考原則」を策定・公表しました。この資料では、統合思考を組織内に組み込むための6つの原則とそれを組織に組み込むための3つのレベルが示されました。今回は、これらの内容についてご紹介します。

統合思考原則とは

統合思考原則として、
「パーパス」「リスクと機会」「ガバナンス」「ストラテジー」「文化」「パフォーマンス」の6つが示されました。

統合思考原則を実行する対象者は、組織の重要な意思決定の権限をもつ「取締役会、CEO、CFO、上級管理チームなどの組織の経営陣」と想定されています。つまり、民間部門か公共部門か、多国籍企業か中小企業かを問わず、すべての組織で活用可能です。

原則を適用する前に、組織のコアであるビジネスモデルを明確にする必要があります。 ビジネスモデルは、戦略を実現するためのメカニズムであると同時に、それが時間の経過とともにどのように価値を生み出すかを説明するものでもあります。これは各組織に固有であり、組織の目的を達成するための出発点となります。

また、統合思考原則が価値創造をどうサポートするかについて、以下のような図が示されています。

組織織は、「外部環境」としての太陽系を周回する惑星として描かれています。 組織のコアは「ビジネスモデル」であり、それを6つの統合思考原則が取り巻きます。これらを基礎としてその外周で、ビジネスモデルによって資本がアウトプット・アウトカムに変換され、ステークホルダーへの有形・無形の価値創造につながっています。

原則を適用するための3つのレベル

統合思考原則を組織に組み込むために、原則ごとに3つのレベルが示されています。

レベル1:各原則が組織全体でどの程度広く採用されているかについての取締役会とCEOへの質問
レベル2:各原則が組織にどの程度深く組み込まれているかを評価 するために、「深く組み込まれた状態」を示す
レベル3:統合思考を実現するため のマネジメントツール、実践、およびプロセスのチェックリスト

例えば、パーパスの原則については下記のようなアプローチが示されています。

レベル1  

どうすれば社会のニーズに自社独自の貢献ができるのか、また自社はなぜ存在するのかが明確になっていますか。

レベル2  

自社のパーパスは独特で明確に表現されています。 パーパスは、私たちのリーダーシップ、経営陣、スタッフ、顧客、サプライヤー、受入国政府、地域社会の相互作用の中で効果を発揮しています。

レベル3  

私たちの組織のパーパスは、私たちがビジネスを行う方法の動機付けであり、目指すものです。取締役会は、会社の意思決定とリソースの割り当てが私たちの目的と一致しているかどうかを定期的に確認します。私たちの目的は、役員だけでなく、主要な外部ビジネスパートナーや幅広い利害関係者の間でも、製造現場に関連しています。

今後に向けて

統合思考が組織に組み込まれているかを確認するために、まずはレベル1の各項目について取締役会レベルで確認してみてはいかがでしょうか。
さらにレベル2で示された状態と現状のギャップを確認したり、レベル3で示されているチェックリストを活用してみるのもよいかもしれません。

【参考リンク】
・IFRS「Integrated thinking」

【関連記事一覧】

株式会社YUIDEA 統合報告書制作支援サービス

Mail
Magazine

-メールマガジン-

サステナビリティ推進に役立つ
ニュース・セミナー情報を配信中

無料会員登録はこちら

この記事をシェアする

トップページお役立ち情報

統合報告に必要な、6つの統合思考原則