統合報告書は、企業の財務情報と非財務情報を統合的に開示し、企業価値創造のプロセスや将来の見通しを説明する報告書です。この記事では、統合報告書が求められる背景、目的、メリット、作成手順について解説します。【目次】1.統合報告書とは統合報告書は、企業の財務情報と非財務情報を統合的に開示し、企業の財務状況、価値創造のプロセス、将来の見通しを包括的に説明する報告書です。財務情報には売上や利益などが含まれ、非財務情報には経営理念、技術力や人材、ブランドなどが含まれます。これらを統合的に開示することにより、企業の全体像や価値創造プロセスを、投資家をはじめとするステークホルダーに分かりやすく伝えることができます。統合報告書は、企業の過去の実績だけでなく、現在の状況や将来の展望も示すことで、企業の持続可能性と長期的な価値創造能力を分かりやすく伝える重要なコミュニケーションツールとも言えます。【関連記事】統合報告書を初めて作る方へはじめて統合報告書を発行する方に向けて、重要な考え方や位置づけ、統合思考の実現するためのステップ、活用について説明しています。2.統合報告書が求められる背景統合報告書は、急速に変化するビジネス環境下では、従来の財務情報中心の開示では、企業価値を十分に説明できない、将来の価値創造を評価するには不十分であるという問題意識から生まれました。財務資本だけでなく知的資本や人的資本、社会・関係資本、自然資本などを統合的に捉える「統合思考」が重視されるようになりました。このような背景の中で、2010年に国際統合報告委員会(IIRC)が発足し、「統合報告のフレームワーク」が公表されました。日本でも、2017年に経済産業省から企業と投資家をつなぐための「価値協創ガイダンス」が公表されるなど、統合報告の普及に向けた取り組みが進められています。【関連記事】統合報告に必要な、6つの統合思考原則統合報告書作成において重視されている「統合思考」とは何かや、原則としておさえるポイント、そして統合思考を組織に組込む為のアプローチについて解説しています。国際統合報告フレームワークの改定ポイント国際統合報告フレームワーク<IR>の概要と統合報告書作成にあたって考慮すべき改定ポイントのうち3つをご紹介しています。価値協創ガイダンス2.0効果的な情報開示や建設的・実質的な対話を行うためのフレームワークとして改訂された「価値協創ガイダンス2.0」についてご紹介しています。3.統合報告書を作成する目的統合報告書を作成する目的とは?企業が財務情報と非財務情報を統合し、ステークホルダーに対して長期的な価値創造を説明することで、投資家を含むステークホルダーからの信頼を獲得し、企業価値を向上させることです。具体的な目的としては、以下が挙げられます。企業の価値創造プロセスへの理解投資家との建設的な対話の促進企業の透明性・説明責任の向上社員のエンゲージメント向上4.統合報告書作成のメリット統合報告書を作成することによって、企業の透明性が高まり、投資家からの信頼を獲得できます。また、サステナビリティ経営を推進し、長期的な企業価値向上に貢献します。具体的なメリットとしては、以下が挙げられます。投資家とのコミュニケーション強化企業価値創造プロセスの明確化と共通認識化統合思考の促進企業の透明性と説明責任の向上社内コミュニケーションの活性化ブランドイメージの向上優秀な人材の獲得・定着【関連記事】統合報告書を作成するメリット統合報告書作成において経営層や関係者の理解を得ることが重要です。この記事ではその為のヒントとなるよう、投資家側と企業側それぞれにとってのメリットを解説しています。5.統合報告書作成の5つのステップ統合報告書の作成の基本的な手順は、以下の通りです。準備段階: 目的やターゲット、作成体制を明確化分析・検討段階: 企業価値創造プロセスの分析と重要情報の特定報告書作成段階:分かりやすく、ストーリー性のある報告書を作成公表・対話段階: 報告書の公表とステークホルダーとの対話評価・改善段階: フィードバックをもとに次年度以降の改善を図る【関連記事】WICIジャパン統合リポート・アウォード企業の価値創造活動を適確に捉えられる作成を促すために表彰制度です。表彰の概要や評価のポイント、受賞企業をご紹介しています。統合報告書におけるROICツリー掲載事例企業価値創造の構造を可視化し経営改善の方向性を示すためのROICツリーについて、掲載事例をご紹介しています。【最新2024年版】統合報告書・サステナビリティレポートでのコア・コンテンツ事例サステナビリティ情報をコア・コンテンツで開示するメリットや開示事例、今後求められる対応について解説しています。統合報告書・レポート制作支援実際に統合報告書を制作する際の流れについて、5つのステップをサービスページにご紹介しています。統合報告書・サステナビリティレポート評価/分析情報開示の質や、投資家・従業員をはじめとするステークホルダーからの評価向上のため、随時改訂されるフレームワークや評価基準に沿った分析サービスをご紹介しています。6.まとめ統合報告書は、企業が財務と非財務の両面から価値創造を説明するための重要なツールです。統合報告書を作成することにより、投資家や他のステークホルダーとのコミュニケーションを強化し、長期的な成長を目指す企業としての魅力を効果的に伝えることができます。また、継続して作成・公表し続けることで、企業が環境の変化をどう捉え、何を考え、どのように価値を創造し続けていこうとしているのかといったことも伝わります。統合報告書の作成や改善をお考えの方は、ぜひYUIDEAにお問い合わせください。統合報告書制作支援お問い合わせ7.関連記事一覧統合報告書を初めて作る方へ統合報告に必要な、6つの統合思考原則国際統合報告フレームワークの改定ポイント価値協創ガイダンス2.0統合報告書を作成するメリットWICIジャパン統合リポート・アウォード統合報告書におけるROICツリー掲載事例【最新2024年版】統合報告書・サステナビリティレポートでのコア・コンテンツ事例