サステナビリティ開示における4つのコア・コンテンツとは?「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」のことです。IFRSサステナビリティ開示基準をもとに、2024年3月にSSBJが公表した日本版「サステナビリティ開示基準(案)」にも採用されており、今後有価証券報告書などで、財務面で重要なサステナビリティのテーマについて、コア・コンテンツで開示することが必要になります。サステナビリティ情報をコア・コンテンツで開示するメリットサステナビリティ情報をコア・コンテンツで開示するメリットとしては以下のようなことがありますSSBJなどの、制度開示に備えることができるTCFDやTNFDなど、既に投資家向けに開示している情報と統一でき、読者の理解を助けるTCFD等での対応経験があるため、社内の体制構築や情報収集がスムーズになる現在はコア・コンテンツで開示していなくても、検討されている企業も増えています。2024年版レポートにおけるコア・コンテンツ開示事例の紹介そこで今回は、2024年版のレポートにおいて、いち早くコア・コンテンツを開示している事例をご紹介します。※ここでご紹介する事例がSSBJ「サステナビリティ開示基準(案)」に準拠していたり、好事例であるというわけではありませんのでご注意ください。■積水ハウス「バリューレポート2024」https://www.sekisuihouse.co.jp/library/company/sustainable/download/2024/value_report/all.pdf①編集方針にはどう記載されているか「参照ガイドライン」の項目にSSBJやIFRSサステナビリティ開示基準の記載はありませんが、2023年版レポートには下記のような記載があり、一部踏襲されているものと推察されます。国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が示したESG情報開示に関する考え方を念頭に、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標及び目標」「活動・その他関連情報」という5つの項目に 区分し、報告しています。②どんなテーマをコア・コンテンツでの開示しているか・ESG経営全般について、コア・コンテンツで開示しています。・ほかにも、「人財戦略」「環境マネジメント」「生物多様性保全」「サーキュラーエコノミーに向けた取り組み」「化学物質等における環境汚染への対策」「水セキュリティ」「TCFD提言に沿った情報開示」「TNFD提言に沿った情報開示」もコア・コンテンツをベースとした構成となっています。③その他の特徴・具体的な取組み内容は、「指標及び目標」のパートで開示されています。・「生物多様性保全」では、5番目の項目として「今後に向けて」を掲載しています。■花王 サステナビリティレポート2024https://www.kao.com/content/dam/sites/kao/www-kao-com/jp/ja/corporate/sustainability/pdf/sustainability2024-all.pdf①編集方針にはどのように記載されているか「参考にしたガイドラインなど」として下記を記載しています。 ・IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」 ・IFRS S2号「気候関連開示」 ②どんなテーマをコア・コンテンツで開示しているか・ESG経営全般(赤枠部分)のほか、個別テーマ(青枠部分)も、コア・コンテンツをベースとした構成になっています。③その他の特徴・コア・コンテンツのほかに、「主な取り組み」という項目を立てて、具体的な取組内容を開示しています。SSBJでの開示要求事項と今後の対応今回ご紹介した事例は、SSBJの対象となる有価証券報告書ではなく、任意媒体である統合報告書やサステナビリティレポートであり、SSBJの開示要求事項に十分対応しているというものではありません。SSBJではこれまで多くの企業が開示してこなかった、下記のような項目の開示も求められます。・今後開発予定かどうかも含め、責任者(責任組織)の能力をどう担保しているのか(ガバナンス)・リスクと機会がビジネスモデルやバリューチェーンにどんな影響を及ぼすのか(戦略)・その財務的影響は、現在と将来でいくら程度なのか(戦略)などコア・コンテンツでの開示は、冒頭でもご説明したようなメリットがあります。SSBJへの対応スケジュールも踏まえながら、できる項目からコア・コンテンツでの開示を検討してみてはいかがでしょうか。関連記事SSBJ対応支援キーワード解説「SSBJサステナビリティ開示基準」統合報告書を初めて作る方へ統合報告書で企業価値を最大化する:作成ガイドとおさえるべきポイント・最新情報統合報告に必要な、6つの統合思考原則国際統合報告フレームワークの改定ポイント価値協創ガイダンス2.0統合報告書を作成するメリットWICIジャパン統合リポート・アウォード【最新2024年版】統合報告書・サステナビリティレポートでのコア・コンテンツ事例