公開日:2021.09.13
最終更新日:2026.04.28

金融機関向け情報開示規制、「SFDR」のポイント紹介

「SFDR」とは、金融機関に対して、持続可能性に関する情報開示を求める規則 で、欧州委員会により導入されました。「The Sustainable Finance Disclosure Regulation」(EU Regulation on Sustainability related Disclosures in the Financial services sector)の省略です。

EUタクソノミーの概念に基づく規則で、2019年に採択され、2021年3月から部分的に適用されています。

本記事では、サステナビリティに関連する改訂部分についてご紹介します。

EUでは、2018年に欧州委員会によって10の「アクションプラン:持続可能な成長に向けた金融」が公表されていました。そのアクションの1つには「機関投資家の開示義務の明確化」があり、これを具体化した施策の1つが、今回のSFDRにあたります。

EUタクソノミーについてはこちら
こちら真の環境企業を可視化する「EUタクソノミー」。簡単解説

目的

この規則では、金融市場の参加者と金融アドバイザーに向けて、以下のような情報の開示することを定めています。

  • 持続可能性リスクの統合

  • プロセスにおける持続可能性への悪影響の考慮

  • 金融商品に関する持続可能性関連情報の提供

上記のような情報開示によって、ESGやサステナビリティをテーマとした金融商品において、実際にどういった課題に貢献するのかが不明確な「ウォッシュ」を防ぐこと、また金融商品のサステナビリティ面を比較可能にすることが期待されています。

対象

EUの規則であるため、その対象はEUの金融市場参加者(投資商品を扱う資産運用会社・保険会社・投資会社など)や、機関投資家などに助言を行う機関です。
日本の企業は直接の対象ではありませんが、EUの金融機関から運用の再委託を受けるような場合には、同様の情報開示が求められる可能性があります。

内容

SFDRは20の条項から構成されており、下記のような条項があります。

第1条 

主題
Subject matter

第2条 

定義
Definitions

第3条 

サステナビリティリスク方針の開示
Transparency of sustainability risk policies

第4条 

事業体レベルでの持続可能性への悪影響の開示
Transparency of adverse sustainability impacts at entity level

第5条 

サステナビリティリスクの統合に関する報酬方針の開示
Transparency of remuneration policies in relation to the integration of sustainability risks

第6条 

持続可能性リスクの統合の透明性
Transparency of the integration of sustainability risks

第7条 

金融商品レベルの持続可能性への悪影響の開示
Transparency of adverse sustainability impacts at financial product level

第8条 

環境または社会的側面の促進に関する契約前の開示
Transparency of the promotion of environmental or social characteristics in pre‐contractual disclosures

第9条

持続可能な投資の促進に関する契約前の開示
Transparency of sustainable investments in pre‐contractual disclosures

第10条 

環境または社会的および持続可能な投資の促進に関するウェブサイトでの開示
Transparency of the promotion of environmental or social characteristics and of sustainable investments on websites

第11条 

環境または社会的および持続可能な投資の促進に関する定期報告での開示
Transparency of the promotion of environmental or social characteristics and of sustainable investments in periodic reports

第12条 

ディスクロージャーの見直し
Review of disclosures

第13条 

マーケティング・コミュニケーション
Marketing communications

第14条 

管轄官庁
Competent authorities

第15条 

EU職域年金基金および保険仲介業者の開示
Transparency by IORPs and insurance intermediaries

第16条 

規制(EC)No.883/2004および(EC)No.987/2009の対象となる年金商品
Pension products covered by Regulations (EC) No 883/2004 and (EC) No 987/2009

第17条 

除外事項
Exemptions

第18条 

報告書
Report

第19条 

評価
Evaluation

第20条 

発効および適用
Entry into force and application

「EU規則_SFDR」よりYUIDEA作成

第3〜5条は運用機関などの会社全体に関する項目、そして第6〜11条は金融商品に関わる項目です。 会社全体としてのサステナビリティリスクに関する方針だけでなく、金融商品ごとに環境・社会に関する情報開示が求められています。

また金融商品を下記の3つに分類し、それぞれ必要な情報を開示することになっています。

  • 第6条:第8条、第9条に該当しないESG特性を促進しない商品

  • 第8条:環境または社会的または両方を促進する商品(ライト・グリーンとも言われる)

  • 第9条:サステナブル投資を目的とする商品(ダーク・グリーン※とも言われる)

例えば第8条に該当する商品では、投資プロセスにおいて財務的な基準だけでなく、環境や社会をどのように考慮しているかといった情報の開示が求められています。

※持続可能性への貢献深度をイメージし、第8条、第9条はそれぞれにライト・グリーン、ダーク・グリーンと色分けがされています。ダーク・グリーンの商品区分は、より厳密に社会的効果を数値開示することなどが求められています。

金融機関等の対応

サステナブル投資がメガトレンド化する中で、今回のSFDR導入は必然とも言えるでしょう。

フランスに本社を置くBNPパリバは、サステナビリティレポートの中で自社の金融商品の分類を開示しています。

出典:BNPパリバ サステナビリティレポート2023

【参考リンク】

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