世界経済フォーラム(WEF)は6月11日、各国のジェンダー不平等状況を分析した「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)2024」を発表し、毎年発表している2024年版「ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)」を公表した。対象は世界146カ国。同指数では、「ジェンダー間の経済的参加度および機会」「教育達成度」「健康と生存」「政治的エンパワーメント」の4種類の指標を基に格差を算定し、ランキング付けされている。ジェンダー格差が少ない1位から5位までは、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、ニュージーランド、スウェーデン。日本は118位で、昨年の125位から7つ順位を上げた。その他、ドイツ7位、英国14位、フランス22位、カナダ36位、米国43位、イタリア87位で、日本はG7の中で圧倒的に最下位。韓国は94位、中国は106位で日本より上だった。今回はフランスが大きく順位を上げ、カナダが順位を落とした。順位を大きく順位を伸ばした国は、エクアドル(50位→16位)、ポルトガル(32位→17位)、セルビア(38位→26位)、ボリビア(56位→44位)、パナマ(58位→50位)、ポーランド(60位→51位)等。評価手法は変わっておらず、女性閣僚が増えたことで、政治的エンパワーメントのスコアが上昇した国が多い。ジェンダー・ギャップ指数 2024※括弧内は昨年順位アイスランド(1)フィンランド(3)ノルウェー(2)ニュージーランド(4)スウェーデン(5)ニカラグア(7)ドイツ(6)ナミビア(8)アイルランド(11)スペイン(18)ランキングは上位は例年通り北欧諸国。アイスランドは14年連続で首位の座についた。北欧諸国は、評価指標のうち最も差が出やすい「政治的エンパワーメント」で非常に高いスコアを叩き出している。また次に差が出やすい「経済的参加度および機会」でもスコアが高い。一方、「教育達成度」と「健康と生存」では、首位アイスランドから日本までの間ではほとんど差が出ていない。北欧諸国の中では相対的に順位の低い15位のデンマークは「政治的エンパワーメント」「経済的参加度および機会」が足を引っ張っている。逆に、上位にいるニカラグアや、12位のルワンダ等の中南米やアフリカの発展途上国は、内戦の影響で男性が多数命を落とした結果、女性の政治家や従業員割合が多くなり、「政治的エンパワーメント」のスコアが高い。日本は、過去概ね100位から110位の間にいたが、2020年に121位にまで転落し、2021年は120位。2022年116位と多少上昇したが、2023年に史上最低の125位を記録、今回は例年通りの水準に回復した。日本の評価は、項目ごとに優劣がはっきりしている。読み書き能力、初等教育(小学校)、中等教育(中学校・高校)、出生率の分野では、男女間に不平等は見られないという評価で昨年同様世界1位タイのランク。一方、労働所得、政治家・管理職、国会議員では、昨年より男女間に差が大きいとの評価で世界ランクがいずれも98位以下。加えて、大学や大学院での高等教育についても2023年の105位と大きく下げたが、2024年には107位とさらに低下。その中でも、最も低いのが、政治家・管理職数で130位、国会議員数でも131位だった。一方、閣僚数では2023年の128位から65位に改善した。その他の項目でも50位以内に入った項目はゼロ。経済分野での日本のランクは、労働力参加が80位の最高位で、賃金格差は83位、所得98位といずれもかなり低い。(出所)WEF中国も男女差別がある国のように見えるが、高等教育では男女平等と評価され世界ランク1位を取得。一方で中等教育、出生率では男女差があると評価されており日本とは全く逆の傾向。ちなみに中国の国会議員数ランクは76位と日本よりもかなり高い。日本では、国会議員、政治家・経営管理職、教授・専門職、高等教育(大学・大学院)等、社会のリーダーシップを発揮すべき分野で、ダイバーシティは評価が著しく低い状態がずっと続いている。【参照ページ】Parity for Women Remains Five Generations Away But Historical Election Year Offers HopeGlobal Gender Gap Report 2024株式会社ニューラル サステナビリティ研究所[原文はこちら]2024/6/13Sustainable JapanSustainable JapanのホームページFacebooktwitter