TCFD提言Ⅰ. 正式名称気候関連財務情報開示タスクフォースによる最終報告書 (Final Report: Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures)Ⅱ. 概要■ 発行者金融安定理事会に設置された気候変動関連財務情報開示タスクフォース■ 目的気候関連のリスクと機会について情報開示を行う企業を支援し、低炭素社会へのスムーズな移行によって金融市場の安定化を図ることを目的としている。■ 対象気候関連のリスクと機会について情報開示を行う企業。金融機関も含む。■ 内容・構成A. イントロダクションB. 気候関連のリスク、機会、及び財務的影響C. 提言とガイダンスD. シナリオ分析及び気候関連問題E. 重要な検討事項とさらなる作業が必要な分野・特に参考にしたい内容■気候関連のリスクと機会が財務に及ぼす影響の把握下図のように、気候関連のリスクと機会が財務に及ぼす影響を整理している。 例えば機会としては「効率的な輸送手段の利用」「より効率的な生産・流通プロセス」などの資源の効率をあげている。 一方リスクについては、移行リスクと、物理的リスクの区分において、「操業コストの削減」「生産力の増大による増収」といった「財務への潜在的な影響」の存在など、具体例が説明されている。■開示が推奨される情報TCFD提言では、気候関連の影響を踏まえた「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示が推奨されている。 各項目についてすべてのセクターを対象とした情報と、業界別の情報との2種類があり、業界別の情報は付属書に記載されている。 すべてのセクターを対象とした情報は、下記のとおり。図4 タスクフォースによる提言と推奨される情報開示TCFDは2021年10月、付属書「気候関連財務情報開示タスクフォースの提言の実施」を改訂し、「指標、目標と移行計画に関するガイダンス」を公表した。また日本国内のTCFD提言への対応に向けた機運の高まりを受け、2019年5月にTCFDコンソーシアムが設立された。同コンソーシアムは日本国内の事業会社による開示を後押しするため、2020年7月に「TCFDガイダンス2.0」、2022年10月に「TCFDガイダンス3.0」を公表している。■ 沿革・今後2016年タスクフォース発足2017年TCFDが最終報告書(TCFD提言)を公表2018年経済産業省が「TCFDガイダンス」を公表2019年日本で「TCFDコンソーシアム」設立2020年TCFDコンソーシアムが、気候関連財務情報開示に関するガイダンス2.0(TCFDガイダンス2.0)を策定2021年TCFDが指標、目標と移行計画に関するガイダンスを公表2022年TCFDコンソーシアムが、気候関連財務情報開示に関するガイダンス3.0(TCFDガイダンス3.0)を策定2016年タスクフォース発足2017年TCFDが最終報告書(TCFD提言)を公表2018年経済産業省が「TCFDガイダンス」を公表2019年日本で「TCFDコンソーシアム」設立2020年TCFDコンソーシアムが、気候関連財務情報開示に関するガイダンス2.0(TCFDガイダンス2.0)を策定2021年TCFDが指標、目標と移行計画に関するガイダンスを公表2022年TCFDコンソーシアムが、気候関連財務情報開示に関するガイダンス3.0(TCFDガイダンス3.0)を策定Ⅲ. 企業の対応TCFDコンソーシアムによると、2023年1月25日時点で世界で4,187、日本でも1,199の企業・機関が賛同を表明している。ESG評価機関がTCFDへの対応状況を評価項目に含めているほか、2021年6月に策定された改訂コーポレートガバナンス・コードでは、プライム市場上場会社に対して「TCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである」とされており、賛同の表明に留まらない情報開示が求められている。Ⅳ. 参考情報2022 TCFD Status Report経済産業省「気候変動に関連した情報開示の動向」TCFDコンソーシアム関連記事■コーポレートガバナンス・コード改訂のポイント