正式名称欧州サステナビリティ報告基準(European Sustainability Reporting Standards)発行者欧州委員会(EU Commission)※ドラフト作成などの具体的な作業は欧州財務報告諮問グループ(European Financial Reporting Advisory Group:EFRAG)が実施。今後発行予定の業界別基準なども同様。ESRSの目的EUの企業サステナビリティ報告指令(CSRD)のもとで策定されるサステナビリティに関する開示基準。ダブルマテリアリティに基づいた比較可能で信頼性の高いサステナビリティ情報の開示を義務付けることを目的にしている。ESRSの対象企業CSRDで定められた対象企業。下記に当てはまる場合は日本企業も対象となる。EU域内で1億5000万ユーロ以上の売上高を過去2年連続で上げ、かつ、EU域内に以下のいずれかに該当する子会社または支店を持つ企業EUが定義する大規模企業の要件にあてはまる子会社次のうち2つ以上を満たす(①従業員が250名以上 / ②売上高5000万ユーロ以上 / ③総資産2500万ユーロ以上※)EU域内の証券市場に上場している子会社(零細企業を除く)上記1. 2. に該当する子会社を持たない日本企業の支店の売上が4000万ユーロを超える場合※ 2023年10月17日、インフレを考慮し従業員以外の対象企業の閾値が調整された。(調整前:従業員250名以上 / 売上高4000万ユーロ以上 / 総資産2000万ユーロ以上)ESRSの内容■概要ESRS第1弾(全セクター共通基準)は横断的基準(cross-cutting基準)と環境・社会・ガバナンスに関するトピック別基準に分かれている。2022年4月にドラフトが公開され、パブリックコメントなどを経て最終版は2023年7月31日に確定版が公表された。ESRS第2弾(セクター別基準、中小企業向けの基準)は現在開発中。非EU企業には2028年度を対象として2029年にグループレベルでの開示が求められる(公表されたものとは別の基準が採用される予定)。■特徴ESRSはCSRDの概念を適用しているため、ダブルマテリアリティをサステナビリティ情報開示の基礎として位置付けている。その他にもバウンダリとバリューチェーン、時間軸、デューディリジェンスなども盛り込まれている。ESRSの沿革・今後2021年欧州委員会が企業サステナビリティ報告指令(CSRD)を提案。2022年EFRAGがESRS第1弾の草案を欧州委員会に提出欧州議会、欧州理事会による可決を経て、CSRDが成立2023年ESRS第1弾(全セクター共通基準)が公表(7月31日)下記セクターの基準を開発予定GRIのセクタースタンダードがある5業種:農業、炭鉱、採掘、石油・ガス(上流・下流)特に影響が大きい5業種:エネルギー製品、輸送、自動車製造、食品・飲料、繊維2024年以降ESRS第2弾(セクター別基準、中小企業向けの基準)、非EU企業向け基準が採択される予定企業の対応日本企業はまず、自社やEU域内の子会社が、CSRDの対象企業かどうかを確認する必要がある。対象企業である場合は、ESRSに沿った詳細なサステナビリティ報告をしてサステナビリティ報告に対する第三者保証を取得しなければならない。事前にできる対応としては、ESRSで求められるダブルマテリアリティや戦略、ガバナンスの検討、ポリシー、目標、行動計画、リソースの分配などについて検討することや、EUタクソノミーにおいて自社の製品やサービスがどのように評価されるかを把握することなどが挙げられる。参考情報欧州委員会(EU Commission)EFRAGESRS(欧州サステナビリティ報告基準)対応支援サービスのご案内・ESRSに、どう対応すればよいのかわからない・既に開示している情報との過不足が知りたい・ダブルマテリアリティに対応できていないといった課題をお持ちの方へYUIDEAではESRS(欧州サステナビリティ報告基準)への対応を支援しています。詳細はESRS対応支援サービスページをご覧ください。